◆読了

贖罪 (双葉文庫)

贖罪 (双葉文庫)

15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。娘を喪った母親は彼女たちに言った──あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖の結末は!? 〈特別収録〉黒沢清監督インタビュー。

店頭にDVD発売に先駆けての予告がよく流れていて、それを見てしまうとどんな話かとても興味があって手に取りました。キョンキョンの鬼気迫る母親役がほんの数秒見ただけでも印象的で。

「告白」も話題になっていた当初に読了していたので、今回も同じ形式でとても読みやすかったし告白同様、話の先が気になって気になって仕方ない衝動にかられて読むのもまぁ、進む進む。

一つの歯車がほんの少しずれただけでもそれが重なるとどんだけずれんねん、というのが現代なのかも知れない。知らず知らずの所でそうなっているのがまた怖い所。この本に出てくる人たちは色々な人がこれでもかというぐらいに揃っていますが、今の世の中見てると”非日常”って言いきれない。それが湊さんの本の好きな所です。現実の遺体部分を否応なしにつきつけてくる。
特に小学校の先生である真紀なんかは共感する部分もありますもん。現場は違えど自分も一応”先生”という立場であるので、すごく分かる。正直男の先生の行動にも頭から批判は出来ない。危機管理についてまだまだ自分の認識の甘さがあるけれど、いつどんな事態になるか分からないのが今の世の中。

印象的にはキョンキョン演じる麻子さんが想像よりも4人に対して償いの気持ちを持っていたということ。あの店頭DVD見る限りではそんなの微塵も感じられなかったので(笑)やっぱり見るのと読むのとではそんな所でも差が出てきて、その差が逆に面白いと思う。

今回は最後、「告白」とは違った形式で終わってますが、読了直後は違和感あったのですが、後々考えるとこういう終わり方でちょっとでも救われたら、っていう部分があるのかなともふと思ったりしました。

湊さんのこの形式の本は純粋に読書に集中出来る時間を与えてくれる。これは「少女」も読まないと。


オレの宇宙はまだまだ遠い

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